生前贈与の
節税メリットあなたは、生前贈与という言葉を聞いたことがありますか?言葉だけではあまりイメージがつきづらいですね。そして、そもそも相続とどんな関係があるのかもよく分かりません。ですがこの生前贈与を上手に利用すれば、相続に関する「節税のメリット」が得られる、とても有益な制度なのです。詳しく解説していきますので、ぜひご確認ください。
生前贈与ってなに?
それではまず「生前贈与」とはどういうものなのか、その概要から入っていくとしましょう。生前贈与とは、将来財産を相続する予定の人に対して、財産を残す立場の人が生前から実施する贈与のことです。贈与というと難しくきこえますが、ようするに「見返りを得ることなくタダで差し上げる」ということですね。この作業の何がメリットなのかは、後ほど具体的に見ていきます。
できる財産の種類はかなり幅広く、預貯金などから土地や建物の不動産などまで可能です。では何が有効なのかをざっくりお話しすると、この生前贈与をおこなえば将来的に財産を相続する人に対して、財産を残す人が生きているうちに譲ることが可能です。 すると、相続するはずの財産がどんどん目減りしていきます。ということは、それだけ相続時にかかる相続税が安くなります。 「贈与には税金がかからないの?」と思った方は、非常に鋭いですね。その点については同じく後ほど説明します。 とにかくこの相続財産を生きているうちに贈与できるというのが、一つ目のメリットです。
そして二つ目のメリットは、本人が生きているうちに贈与できるため、遺産相続に関係したトラブルの発生を未然に防ぎやすいという点です。いざ相続が開始する時には本人は亡くなっていますので、残された相続人が自分の利益を優先させて行動すれば、トラブルになる確率が高まります。しかし生前贈与ならそもそも贈与する本人は存命中ですので、このようなリスクを抑えることが可能です。そのため上手く利用できれば、送る側、送られる側双方にメリットのある制度なのです。
最も重要な節税のメリット
では概要がつかめたところで、もう少し具体的にその節税のメリットについて解説していきます。 1つ例をあげてみましょう。ある70歳の父親が5000万円の財産を持っていて、「自分が亡くなった後は40歳の1人息子にこの全財産を相続させたい」と考えているとします。そしてこのまま父親が亡くなってしまえばこの5000万円はそのまま息子が相続し、その全額に相続税が課税されます。しかしここで生前贈与の登場です。例えば父親が80歳で亡くなると仮定して、これからの10年間で毎年100万円をこの息子に対して生前贈与したとします。するとその贈与額は「100万円×10年間=1000万円」になります。
①100万円 × 10年間 (生前贈与合計分) = 1000万円
②5000万円(元の財産)- 1000万円(生前贈与合計分) = 4000万円(相続税の課税対象)
予定通り80歳で父親が亡くなりその財産を息子が相続するときには、父親の財産は4000万円まで目減りしていることになります。すると、当初5000万円に掛かるはずであった相続税は、残りの4000万円に掛かるため、実質相続税の減額となります。ちなみに相続税についての解説や計算の早見表などは以下の相続税についてのページで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
初めての相続税
ただ、そもそもこの贈与には税金はかからないのでしょうか?贈与税などという税金もあるくらいですから、これが掛かってしまえば減額のメリットは薄くなりそうです。
実はそれについては、「年間110万円の基礎控除」という仕組みがあります。読んで字のごとくですが、ようするに年間110万円までの生前贈与なら贈与税は掛かりません。ゼロ円です。なのでこの例でいけば、10年間で贈与した1000万円にかかる贈与税はゼロ円ですので、相続財産が目減りした分大幅な相続税の節税が達成できたことになります。具体的な相続税の計算については、税率以外にも考慮する項目が多いため適当な計算では出せませんが、このくらいの相続額であればおよそ「数百万円単位 」で節税出来ていると予想できます。
このくらいメリットの大きな制度なので、可能な方は利用を検討されてはいかがでしょうか。
相続との違い
イメージ的には近い感じのする相続と生前贈与でしたが、その選択によっては大きなメリットもあることがお分かりいただけたかと思います。このではその違いを比較表にまとめてみましたので、どのような財産の残し方をするのかの参考にしていただければと思います。
【生前贈与】 | 【相続】 | |
---|---|---|
贈与者の存命中 | 選択・実施する時期 | 被相続人(遺産を残す人)の死後 |
贈与者と贈与をされる人 | 対象になる人々(当事者) | 被相続人と相続人 |
贈与税(控除の範囲以上) | 課税される税金の種類 | 相続税 |
贈与を受けた人 | 課税される人 | 相続人 |
贈与の翌年の2月1日~3月15日 | 税金の手続きの時期 | 被相続人の死後10ヶ月以内 |
その他のポイント
ざっくりとした例でもそのメリットがご理解いただけたかと思いますが、1番のポイントである「年間110万円の基礎控除」以外にも、条件によって利用できる控除や制度、特例などが存在します。当然このような仕組みを理解したうえで上手に利用すれば、より大きな節税の効果を上げることができます。
ただしこのような専門的な話になってくると、初めて対応する方ではなかなか一人で手続きを進めていくのは難しいと思います。知識の他にも、経験やノウハウが必要になる部分もあるからです。そこで可能であれば、専門知識とノウハウを有した専門家に相談してみましょう。多少費用はかかりますが事例のように大きな節税効果が望めますので、依頼してその制度を最大限利用できれば、トータルではプラスになることも考えられます。
最後になりますが、「相続さが」には相続を担当する司法書士や税金関連を担当する税理士など様々な専門家が在籍しており、みなさまのご相談にワンストップで対応可能です。生前贈与での節税をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
相続さがの各種専門家のご案内
生前贈与に関するQ&A
メリットは何ですか?
簡単にまとめると、「相続税対策として相続財産を減少させる」という目的や、相続財産の分け方を生前に決めてしまうことによって、「相続人同士での紛争リスクを予防する」というような目的があります。
贈与税は誰にかかりますか?
贈与税がかかる場合は受けた側、つまり「財産をもらった人」に掛かります。またこれはあくまで「個人が個人から財産をもらった時にかかる税金」のことなので、もし法人からもらったような場合には贈与税ではなく所得税などの別の税金になります。注意してください。
子や孫に教育資金を贈与すると贈与税が安くなるのですか?
はい。ようするに考え方なのですが、これについてはそのように考えることができます。というのも子や孫(30歳未満)の教育資金に充てるために「直系尊属である祖父母」などが金融機関等との契約で行う一括贈与の場合、1500万円までの金額に相当する部分は非課税になるため、教育資金贈与の特例というような言い方をします。