「相続のきほん」
についてあなたは相続、そして相続税という税金についてご存知でしょうか?身近な人が亡くなった時に、初めて知った方もいるかもしれません。また、現在進行形で「相続税のことについて調べている」という方もいらっしゃるでしょう。このページでは、相続手続きや相続税について、初心者の方でも分かりやすい言葉で説明していきたいと思います。
初めての相続
少し想像してみてください。まず、自分の親しい親族の方が亡くなったとします。その際に、いくらかの遺産をあなた宛てに残していた場合、これを受け取ることを「相続」と呼びます。そして、その受け取る遺産に対してかかる税金が「相続税」です。 このページでは、みなさんが初めて経験する「相続」とその手続きについて、さらにそこに課税される「相続税」について、ご紹介します
初めての方はいざという時に慌てないために、そして関わる人たちが全員笑顔で手続きを完了することが出来るように、「相続のきほん」を解説したいと思いますので、一緒に学んで理解していただければと思います。
相続の手続き一覧表
まずは「相続の手続き」についてお話したいと思います。以下の表をご覧ください。実際に遺産を残して亡くなった方(被相続人と呼びます)が死亡してから、どのような段取りで相続の手続きが進行していくのか、一覧表にまとめました。
目安となる期限 | 各種手続きの内容 | 詳細期限 |
---|---|---|
死亡後~14日以内 | 死亡届の提出 | 7日以内 |
金融機関に対して預貯金の取引停止手続き | ||
年金の受給停止の手続き | 14日以内 | |
世帯主変更の手続き | 14日以内 | |
生命保険金の受け取り申請手続き | 保険会社により異なる | |
健康保険と介護保険の資格喪失届出 | 5日以内に健康保険(会社員) 14日以内に国民健保 |
|
公共料金などの名義変更・解約手続き | 出来るだけ速やかに | |
3か月以内 | 遺言書の有無を確認・検認手続き | 出来るだけ速やかに |
相続人の調査の実施 | ||
財産の調査の実施 | ||
相続放棄・限定商承認の検討 | ||
遺産分割協議の開始・作成 | ||
3か月~10か月以内 | 所得税の準確定申告 | 4か月以内 |
相続税の申告 | 10か月以内 | |
その他 | 財産が分割されていないとき | |
遺留分侵害額請求 | 10か月以内 | |
各種関連手続き | 手続きにより異なる |
見ていただくと分かるとおり、亡くなった後の死亡届の提出から始まり、数か月の期間内で行うことがたくさんあります。それぞれに期限があったり、相続の手続きを進めるにあたって調べなければならないことがあったり、さらには他の相続関係者と打ち合わせを行ったりと、この一覧表の内容以外にも多くのことに時間を割かねばなりません。
ここで大事なのは、事前準備です。ご自身やご親族が相続に関する当事者になることが予測される場合、あらかじめやるべきことや必要なものを準備しておくことを心がけましょう。
どのように相続するか?
相続の手続きの流れをつかんでいただいたところで、次に「どのように遺産を相続するか」についてお話したいと思います。
亡くなった方が残された遺産は、まずその内容によって価値を「評価」されます。その結果をふまえて、どのように「承認(相続)」するかを選択していく形となります。ここでは、その内容を見ていきましょう。
遺産をどのように評価するか?
例えば遺産の中に土地や建物などの不動産が含まれていた場合、お金のように簡単に価値を算出するというわけにはいきません。このような場合、一般的にはその対象となる遺産の価値を「時価で計算して算出する」ということになります。簡単に言えば、「お金にするといくらくらいになるのか」という評価をし、そこから導き出された評価に応じて、課税される税金なども決定されるということです。
ただし、その評価を自分で行うことは困難だと思いますので、例にあげた不動産などであれば、事後の処分や活用まで含めて専門家などに事前に相談することも選択肢に入れておきましょう。
遺産をどう相続するか?
まず残されたそれぞれの遺産について、「プラスの財産」か「マイナスの財産」かを調査します。ここでいうプラスやマイナスは、その金額のプラス・マイナスと考えていただいて構いません。単純に遺産が現金でいくらかもらえるのであれば「プラス」ですし、亡くなった方が借金しか残していない場合などは「マイナス」となります。
そして、相続する人たち(法定相続人)にとって、その遺産が必要か不要かを判断してもらうことになります。最後にその判断を踏まえた上で、実際に相続するかどうかを決定します。その方法については、以下の3つの方法しかありません。
単純承認する
すべての遺産を、「そのまま相続する」という選択です。 特に問題がなければ、このまま具体的な手続きに進みます。
限定承認する
プラスとマイナスの財産がそれぞれどの程度であるか分からないケースなどで、「プラスの財産の限度でマイナスの財産を受け継ぐ」という選択です。つまり最もマイナスが多い場合でもゼロとなり、もし結果的にマイナスよりもプラスの方が多かった場合には、そのままプラス分を相続することが出来ます。 ただし法定相続人が複数人いるケースなどでは、「全員の承諾」が必要になるため注意が必要です。
放棄する
こちらは、「何も相続しない」という選択です。これを相続放棄とよびます。 評価の結果、借金などのマイナスの財産の方が多い場合に、よく選択される方法です。
相続手続きに必要なもの
次に、「相続の手続きに必要なもの」をご紹介します。そういわれても多くの方にとっては、普段の生活の中で頻繁に目にするものではありません。しかし、実際の各種手続きが始まると、期限が決まっているものも多くあります。いざという時に慌てることのないように、十分に確認をしておくようにしてください。
特に、遺産を残す予定がある方(被相続人)しか場所が分からないようなところにしまわれている場合、亡くなったあとで大騒ぎすることになってしまいます。生前、そのような話が出た際には、必要なものについても確認しておくようにしましょう。
1. 誰が亡くなったのかを特定させる書類
相続手続きに必要な書類としては、まず誰が亡くなったのかを特定させる「亡くなった人の死亡時の戸籍謄本」と、死亡時の住所がわかる書類として「住民票の除票もしくは戸籍の附票」が必要です。
2. 遺言書がある場合に必要なもの
遺言書がある場合に必要なものとしては、まず当然としてその遺言書が必要です。正式には「公正証書遺言もしくは検認済証明の付いた自筆証書遺言・秘密証書遺言」と呼ばれるものです。また、遺言執行者と呼ばれる人が指定されていないケースにおいて家庭裁判所に執行者の選任を申し立てた場合、「選任審判書の謄本」が必要になります。遺言書については、遺言・遺言書のページで詳しく解説していますので、合わせてご確認下さい。
3. 遺言書が無い場合に必要なもの
次に遺言書が無い場合に必要なものとして、誰が相続人となるのかを確定する書類が必要です。これには「亡くなった人の死亡時から出生時にさかのぼる戸籍謄本」と、「確定した相続人についての生存していることがわかる現在の戸籍謄本(※死亡日以降のもの)」が該当します。その他に、家庭裁判所にて調停や審判が行われた場合は、「調停調書や審判書謄本」、「相続人全員の印鑑証明書」などが必要になります。
遺産の中に不動産がある場合に必要なもの
例にも出しましたが遺産の中に不動産がある場合には、その不動産を特定する書類として「登記簿謄本(登記事項証明書)」が必要になります。また、「固定資産評価証明書」、「不動産を相続する人の住民票」、「相続人全員の印鑑証明書」なども必要になります。
相続税についての基礎知識
ページの最初でもお話した通り、ご自身の親しい親族の方が亡くなった場合などに残された遺産を受け取ることを「相続」、その受け取る遺産に対してかかる税金が「相続税」です。
もう少し詳しく言えば、相続・遺贈・死因贈与という3つのケースがあります。これは、亡くなった方が生前にどのような準備をされていたかによって分類されます。そう何度もあることではありませんが、慣れない言葉や手続きがたくさん出てきて、混乱してしまいますよね。また、多くの人々を巻き込んでたくさんのお金が動くので、トラブルになることもあります。
相続税についてこのページでもご説明した基本的なことをしっかりと把握して、準備しておきましょう。ただその算出方法については、多くの要素が関係し、少々難しいところもあります。まずはそのおおまかな把握をすることから始めましょう。
相続税っていくらかかるの?
さて、相続税がどのようなものか分かったところで、次に気になるのはその税額です。せっかく受け取ることができた遺産に、どのくらいの税額が課せられるのかは、誰でも気になるところですよね。
税率ついては、「超過累進税率」という仕組みが採用されています。一般的な所得税などでもおなじみの制度なので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは簡単に説明すると、「より多くの財産を持っている人が、その分多くの税金を支払う」という制度で、社会負担の公平性の観点から採用されているものです。
ただ、その計算方法については少しややこしく、単純に「受け取った遺産額に決められた税率を掛けたもの」という計算をすることはできません。そこで相続さがでは、国税庁が発表している内容をもとに、以下のような簡単な計算早見表を作成してみました。
相続税の計算早見表
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この表に基づいて計算すると、おおよその相続税の目安が把握できるようになっています。例として、あたなたが5000万円の遺産を相続したとしましょう。その場合税率は20%、控除額は200万円に該当します。 これを計算すると、
5000万円×20%-200万円=800万円
となり、この「800万円」が相続税額ということになります。
ただしこれはあくまで計算の早見表ですので、実際には「法定相続人の人数」や「該当する様々な控除」など、それぞれの相続ケースに応じた多くの要素があわさって計算がされることになります。この早見表については「おおよその目安をつけていただくもの」とお考え下さい。実際に手続きや計算、申請について不安がある場合には、私たちのような詳しい専門家に相談することも1つの方法です。
ここでは、相続の手続きの基本と相続税についてみてきました。実際に相続が開始すると、その対応や期限に追われてバタバタしてしまうことも多いと思います。そのうえ、残された遺産の正しい評価やその後の運用、計算や申請書類の作成など、初めての方には不安なことも多いと思います。そういった場合には、ぜひ「相続さが」にご相談ください。各専門家が協力して、あなたの相続に関する不安やお悩みを解決します。
相続税に関するQ&A
相続税の申告はいつまでにすればいいでしょうか?
相続を開始したことを知った日(一般的には死亡した日)の翌日から10か月以内に、亡くなった方(被相続人)の住所地の所轄税務署に申告したうえで、納付する必要があります。
親が借金を残し亡くなりました。借金を引き継ぎたくないのですが・・
「相続の放棄」をすることができます。しかし、状況によってはその内容が不明であり、詳細がよくわからないという場合もあるでしょう。その場合は、得た財産を限度額としてその借金の債務を弁済することを条件に、「限定承認」をすることも可能です。ただし、開始を知った日から原則として3か月以内に、家庭裁判所で手続きをしなければなりません。
親が事業をしていました。所得税、消費税はどうすればいいですか?
このケースですと、親が亡くなった日の翌日から4か月以内に、相続人が親の確定申告を行い、所得税、消費税や納税しなければなりません。これを「準確定申告」と呼びます。
申告はいつまでにすればいいでしょうか?
税金は金銭によって一括で納めるのが原則です。しかしそれが困難な場合については、分割での支払いや取得した財産で物納することも可能ではあります。ただし、所轄税務署に対して申請をおこない、その許可を受けることが必要です。